少子高齢化が進む日本において、介護ニーズがなくなることは考えられないため、将来性・安定性をふまえ介護職に転職を希望する人は少なくないのではないでしょうか。
また、未経験・無資格からでも経験を重ねることで取得できる資格やステップアップの道筋が見えやすいという点もあるため、これらの魅力を感じて転職を決意する方もいらっしゃいます。
本記事では、介護職に転職を考えている方に向けて、①未経験・無資格でも働ける職場、②0から取得できるおすすめの資格、③介護業界でのステップアップについて解説していきます。
「介護」とは
介護は大きく分けると、食事、排せつ、入浴など、身体に直接触れる「身体介護」と、買い物や料理、掃除など身の回りのサポートをする「生活援助」の2種類があります。また、「自立を支援する」という精神面の援助も含みます。
介護保険とは
介護保険制度は、高齢化や核家族化の進行、介護離職問題などを背景に、介護を社会全体で支えること を目的として2000年に創設されました。詳細は、こちらの記事を参照ください。
介護の仕事の魅力とやりがい
①需要が高く、職を失うリスクが低い
少子高齢化が進む日本では、今後も高齢者人口は増加することが予想されるため、職を失うリスクが低いでしょう。また、引っ越し等にともなう転職を考える場合でも、介護職の経験があれば比較的すぐに仕事を見つけられるはずです。
②利用者さんの人生に寄り添い、感謝をされる
介護は、介護を必要とする人の心に寄り添い、自立した生活ができるように支援することです。利用者さんの人生に寄り添えるため、人に役に立ちたいと思う人は大きなやりがいを感じるでしょう。また、利用者さんから直接感謝を伝えてもらえるのも介護の仕事の魅力です。「ありがとう」と言われることで、さらに仕事へのモチベーションが高まるでしょう。
③フレキシブルな働き方ができる
介護の職場では、早番・常勤・遅番・夜勤など、交代制(8時間交代など)が多いです。このため、家事や子育て、趣味などに合わせてシフトを調整することが可能です。また、夜勤の翌日を休みとする職場が多いです。
未経験・無資格でも働ける職場
結論から言うと、介護業界は人材不足が喫緊の課題ですので、ほとんどの職場で未経験・無資格でも働き始めることができるでしょう。ただし、「身体介護」は介護に関する専門的な知識やスキルが必要となるため、後述する「介護職員初任者研修」以上の介護系資格を持っている人でなければ行うことができません。中には「要資格者」「勤務経験1年以上」などで募集をかける職場があるため、まずは採用担当者に相談してみると良いでしょう。
①通所型の介護施設(いわゆるデイサービス)
介護が必要な高齢者や障害のある方などを対象に日帰りで食事、入浴、排せつなどの介護や機能訓練などのサポートを行います。その他、ご家族の介護負担軽減や孤立を防ぐ役割やリズム体操・書道などさまざまなレクリエーションを実施するため、人との交流が多いのが特徴です。
②訪問介護事業所(いわゆるヘルパー)
利用者さんのご自宅に訪問して介護サービスを提供します。食事、入浴、排せつ介助といった基本的な身体介助のほか、掃除や洗濯など家事のお手伝い、病院への付き添いといった生活援助まで、仕事内容は多岐にわたるのが特徴です。核家族化が進み家庭内での介護が難しくなるなかで、その役割はますます大きくなっていくことが予想されます。
③入居型の介護施設
比較的要介護度の高い入居者さんを対象に日々の生活のサポートを行います。具体的には、自治体や社会福祉法人が運営し、原則要介護3以上の比較的重度の方を入所対象とする介護老人福祉施設(特養)や、民間企業が運営する有料老人ホームなどが挙げられるでしょう。
なお、有料老人ホームは、大きく分けて「介護付」と「住宅型」の2種類。「介護付き」は介護サービス提供をしますが、「住宅型」はあくまで高齢者向け住宅という位置づけのため、サービスを利用する場合は訪問介護やデイサービスと契約する形になります。そのため同敷地内にその施設を持っている場合が多いようです。
④医療機関
入院患者さんを対象に、身体の自由が利かない方の食事や入浴、排せつ、移動などの介助業務、シーツ交換や清掃、洗濯などを行います。医療法人や社会福祉法人などが運営する介護老人保健施設(老健)でも似たような仕事を行います。老健とは、病状が安定した人が自宅に戻れるよう医療ケアやリハビリを行う施設です。リハビリを行う理学療法士といった専門職との連携やサポートも重要になるでしょう。
※資格取得支援制度をとっている職場では、働きながら資格取得を目指すことができます。
0から取得できるオススメの資格
前述したとおり、介護職は未経験・無資格でも働くことはできますが、長期的に働きたい方、ステップアップを狙っていきたい方、まずは資格から!という方は、以下の資格を取得すると良いでしょう。
・介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
介護の基礎知識を身につける入門資格のため、介護の仕事を始める方はまず取得しておきたい資格といえます。食事、入浴、排せつ介助など、高齢の方や障がいのある方に対して専門的なサポートを行うための知識と技術が身につき、安全で適切な介護が行えるようになるでしょう。研修は、講義と演習をあわせて130時間程度。最後には、筆記試験による修了評価を行います。受験資格はなく未経験の方でも受講可能です。
※介護職員初任者研修は研修を実施している民間の介護スクールで取得するのが一般的です。
民間スクールでの研修になりますが、初任者研修のカリキュラムは厚生労働省によって一律に定められており、どこで取得したとしても全国で通用します。通学する以外にも、オンラインを併用しながら取得することも可能です。ネットを活用し、お住いの地域で検索してみましょう。
・介護職員実務者研修
介護職員初任者研修の上位資格で、介護業務に関するより実践的で専門的な知識と技術が得られる資格です。たん吸引や胃ろうなど、経管栄養の基礎知識を学び、簡単な医療ケアができるようになります。介護福祉士を受験するための必須資格なので、介護の現場でのステップアップを考えている方には必要な資格です。
無資格の場合は450時間を受講します。介護職員初任者研修の資格がある場合は講座の130時間分が免除されるため、もう少し早い期間での取得が可能です。介護職員実務者研修を取得すると、より専門的な介護知識やスキルがあると証明でき活躍の場や仕事の幅が広がります。認知症の知識を活かしてグループホームでのリーダーや、訪問介護事業所ではサービス提供責任者として働くことも可能です。
介護業界でのステップアップ
介護職におけるステップは、大きく2段階に分かれているイメージをすると分かりやすいです。
1段階目(実務経験5年未満の介護職員)
介護の技術を身につけて現場で活躍する
1年目……介護職員初任者研修
3年目まで……介護福祉士実務者研修
3年目以降……介護福祉士
2段階目(実務経験5年以上の介護職員)
介護経験を活かして管理職・専門職・相談職・医療職にステップアップする
施設長・管理者/ケアマネージャー/生活相談員/看護師/リハビリ職/認定介護福祉士 など
全体の流れとしては、まず1段階目での最終目標である介護福祉士を取得し、2段階目で自分のやりたい方向性の職位に分岐していくと良いでしょう。
まとめ
介護職は未経験・無資格からでも挑戦することが可能です。初めての挑戦で不安に感じるかもしれませんが、未経験からでも段階を踏んで仕事を覚えていけるため、安心して始めてみましょう。お住いの地域で職場を探す際には、教育体制の整った職場や資格取得支援制度のある職場を選ぶと良いでしょう。
本記事を参考に、少しでも多くの人の勇気となり、お力になれれば幸いです。
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